佐渡・薪能モニターツアー

2009.8.31
ひねもす里山/NORA雑感

NPO法人循環の島研究室で企画の”佐渡・薪能モニターツアー”に
行って来ました。

佐渡島は朱鷺を育む自然豊かな島として知られていますが、
多くの伝統文化が息づいています。
なかでも能は有名で、全国の約7割の能舞台が佐渡島にあると言われ、
日々の暮らしのなかに溶け込んでいます。

その佐渡島で、一番小さな能舞台がある羽黒神社の薪能を支える
安養寺集落のみなさんのお手伝いをしてきました。
見事な御神木に抱かれた、茅葺き屋根の能舞台は、15世帯の手により、
地域の宝として大切に守られています。
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今回のお手伝いには、私たちの他に、新潟大学の学生さんたちと
新潟NOP協会の方がいらしていました。
前日の夜に安養寺集落の皆さんとお食事をしながら交流を深め、
当日は朝から集落の皆さんのお手伝いです。
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舞台と会場のセッティングや、神事の道具の運び出しなどを行いました。

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本番の夕方からは、新潟大の学生さんたちは神事の補助を務め、
私たちは、佐渡産のお米で作ったおにぎりの販売補助をしました。
カメラマンの数も多く、観光で来た内地の人も沢山いたようです。
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腹ごしらえをする人たちもちらほら見え始めました。

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夕闇が深くなる頃、祝詞奏上や玉串法典などを行う神事がはじまりました。
採火の儀では新潟大の学生さんが白装束に身を包み、神官の火守を
務めました。

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晩夏の涼やかな闇のなかで、厳粛な神事が終わり、篝火が点され、
いよいよ奉納能楽がはじまりました。
演目は天女伝説に題材をとった「羽衣」でした。

山間の鬱蒼とした鎮守の木々に囲まれ、虫や音や水のせせらぎが
微かに聞こえてくる場所にぽつんとある小さな能舞台。
お洒落したじいちゃんやばあちゃんが集まり、なかには孫を膝に
抱きながら、土の上にゴザをひいて座布団に座り、薪能を観ている風景は
幽玄でありながらも素朴で、ビルや住宅地のなかでは決して再現できない
空間で、心地よさとともに夏が終る切なさを感じました。

能舞台の簡単な片づけの後、直会があり、役者の方の薪能ならではの
苦労話などでおおいに盛り上がりました。

次の日も朝から能舞台の片づけをし、今年の安養寺集落の薪能が
無事終わりました。
この能舞台を守る安養寺集落15世帯の平均年齢は77歳、ほとんどの
方が80歳と高齢で、年に1度のお社への奉納能ですが、継続が難しい
状況だそうです。

このモニターツアーは、ひとつの集落だけでは祭りを支えきれなく
なっている現在、当日の労力の他、新たな地域の担い手や支援者を
どう確保していくかが目的でした。
都市部に住む者として、地方を支える眼差しをどう向けていくか、
多様な風土のなか育まれてきた地域文化をどう伝え継いでいくか
考えていければと思います。

(Tanji)

 

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