野津田・雑木林の会 /のづた里山の家の会
2016.12.3野津田・雑木林の会は、長く「公園の中に里山の風景を残したい」と町田市立野津田公園を中心に活動を続けています。
1980年、公園計画が決定された当初、市はこの土地を総合スポーツ公園にする予定でした。以来、請願・署名、シンポジウム開催、自然教室開催、市への提言、などなど種々な活動を展開。現在、公園約半分(24ha)には雑木林、畑、草地が残る里山風景が広がっています。
そして、今、野津田公園の何よりの魅力は雑木林に連なる生態系豊かな広~い野原です。カントウタンポポが一面に咲き群れる春の野原。丘の一面にススキの穂が揺れ鳴く虫たちの声が響き渡る秋。これらに象徴される懐かしい牧歌的風景は、多摩丘陵でも、今は極めて貴重なものになっています。
この在来植生を活かした保全のスタイルは、公園計画当初より、私たちが行政に提案してきたもので、町田市が試行錯誤しながら取り組み、今ではすっかり定着しました。生態系豊かなこの希少な野原を、ぜひとも次世代に引き継ぎたいと、図書館や冒険遊び場とも連携し活動しています。また、小学校生活科授業「原っぱの体験」のお手伝いも定着しています。
【主な活動】
・「森の学校」/季節の自然観察会、ワークショップを開催。野津田の四季を広く、気軽に楽しめます(1996年スタート)。
・町田市立中央図書館の児童書フロア「ちいさな自然」展示コーナー/町田市の委託を受けて企画から展示まで、季節の身近な自然を関連する本と一緒に展示しています(2002年スタート)。
・のづた丘の上秋まつり/自然保護、子どもの文化、環境、福祉に関わっている約20の”自然を愛する市民団体”が野原に集います。手作りや遊びがいっぱいの、のどかなお祭りに、年々親子連れで訪れる人が増えています(1985年スタート)。
”災い転じて福”といっていいのでしょうか。のづた里山の家は、”事件”を経てスタートしました。
2012年3月8日、突然、市民が愛する里山の野原に重機が入りました。市は、そこを駐車場にする、と。近隣住民をはじめ、多くの市民の抗議で工事は取りやめとなりましたが、直後、市は『第二次基本計画』を発表。今、スポーツ公園化、レジャーランド化が指定管理者の自主事業も含め着々と進んでいます。
そのような環境変化の中、地域の問題を共に考える仲間のつながりが生まれ、昨年9月、新たな場「のづた里山の家」がスタートしました。ここは、野津田公園から歩いて5分ほどの農村伝道神学校の敷地の中の一戸建ての平屋です。農村伝道神学校の地域連携をしたいとの思いと、地域の自然を守る活動をしている私たちの思いが一致して、地域の課題解決を考える、新しい試みや発信にチャレンジする場として、また、様々な人が出会う場として活動していく予定です。
里山の家の奥には広い農地が広がり、その一角をお借りして農体験も始めました。チャレンジが新しい文化形成にもつながっていくのでは、と夢を描いています。
それぞれの活動についての最新情報は――
●野津田・雑木林の会 http:www.nozuta.net
●のづた「里山の家」http:facebook.com/nozutasatoyamanoie
(久保礼子)