有限会社こだま舎

2015.7.31

前々回「生産者と消費者が手をつなぐ会」を紹介させていただきました。
同会の設立が1979年10月ですから、
「こだま舎」とは、ほとんど同い年ということになります。
同じ神奈川県内で、同じ目的とも言える方向をめざして活動してきたわけですが、
二つのグループは、全く交わることの無いまま月日を重ねてきました。
さらに現在では、抱えている課題にも共通点があるようです。

以下は、こだま舎代表の山崎久民さんから、本稿のために寄せていただきました。

『水俣病被害者支援活動の甘夏、静岡県清水市の大石さんの無農薬茶の購入を
きっかけにこだまの会として立ち上げて35年目になる。
消費者と生産者が健康な暮らしと日本農業に貢献するとの目的を共有する
グループとして、単に食品を購入するだけではなく援農や生産者との交流、
様々なテーマでの勉強会などの活動を大事にしてきた。
こだまの会は経済活動を伴う市民活動グループと言えるだろうか。

しかし、この35年間で、こだま舎スタイルの提携活動は変化せざるを得なくなった。
一番の変化は、会員が会員としての役割・責任を持った存在からお客様としての
存在へ変身してしまったことと言えようか。

食べ物が「商品」と意識され、他の商品同様に競争社会で切磋琢磨し、
消費者のニーズに応えることがベターとする考え方が一般的認識となり、
安全性とそこそこの価格を競い合うようになった。
食品に「安全・安心」を求める人たちも、特定の人たちを支えるというより、
こちらからあちらへと消費者にとってよりよい事業者に次々と移っていく。

もう一度、役割・責任を持った提携活動を復活させられるかどうかに
こだま舎の維持継続がかかっているというのが私の現在の認識である。
とりあえず再来年の3月31日までの継続を決めたところである。』

生産者にも、消費者にも、そして物流と情報伝達の担い手、事務局にも、
経済活動は伴います。物と金だけを扱うほうがどれだけ「楽」でしょう。
「こころ」の交流に費やすエネルギーは、常に「無駄」扱いと
たたかい続けなければなりません。
それでも、私たちは「こころ」の交流を大切にしていきたいのです。

たとえば、かけがえのない里山を大切に思うように、
生産者と消費者がお互いをかけがえがないと思えるか、ということです。

◎こだま舎
http://www.kodamasha.com/

(三好 豊)