第1回 足柄上郡中井町エリア

2021.10.22
神奈川ココ好きメッセージ

県内農畜産物の流通に携わって一年目の1988年4月29日。
足柄上郡中井町の農家に招かれ賑やかな酒宴に加わりました。
この日は、五所八幡宮例大祭の日で、実家に親子兄弟、孫も揃って祝い楽しむのが恒例で、
ふだんは、なかなか伺えない昔の苦労話などは、いまだに忘れられません。

そして、“例大祭”の様子には、地域の歴史と文化の深さを感じてたいへんに感動したものでした。
夕暮れ近く、町内を廻って“馬場”神輿に奉納される“鷺の舞”をはじめとする厳粛な神事の数々。
それに続く、地区ごと4台の、飾り彫も見事な山車から奏でられるお囃子は、
それぞれ異なる調べを競って華やかです。

日も暮れれば、幾本もの大松明からは見事な火の粉が中村川に落ち流れ、
地区を廻ってきた紅白二基の神輿が“川入り”して、せり合う様を、
人々は楽しみに待って、橋の上や川沿いの県道から見物するのです。

いよいよ社殿への急な石段を二基の神輿が駆け上がり本殿を回って奉納され、
山車は、それぞれの地区への“曳き分かれ”となり、祭りの夜は更けていきます。

中村川流域の人々との関わりを続けさせていただき、豊かに大地を潤す川の流れ、
緑濃い山野を背景に広がる田んぼにいつも癒されています。

祖先が伝えてきた恵みと、“祭り”は地域の人々の心のよすがとなっているでしょう。
美しい風土、心豊かな伝統を、これからも大切に、と願います。

中井町に通う 三好 豊