3つの活動方針を立てました(第22期事業計画)
2021.8.21お知らせ
近年、地球温暖化の影響と見られる気象災害が頻発し、気候危機への対応が迫られるとともに、SDGs(持続可能な開発目標)に向けた具体的な行動が求められている。
NPOはもちろん行政・企業など多様なセクターのなかで、持続可能な社会・経済活動の基盤として地球環境を保全すべきという認識が高まっている。
一方、長く続くコロナ禍において、東京一極集中に象徴される都市集住のあり方が見直され、地方への移住や自然を求める動きとともに、「里山とかかわる暮らし」「里山をいかす仕事」への関心も高まっている。
このような国内外の潮流を踏まえ、2020年に設立20周年を迎えたNORAは、どのような方針のもとでこれからの歩みを進めるのか。
いまだそのビジョンや中長期計画は明確に描けていないが、今期の事業計画の盛り込むべき3点を確認しておきたい。
①SDGsを見通したビジョン・中長期計画の作成
2019年12月~2020年6月に開催したシリーズNORAサロンの議論を参考にして、SDGsの目標年である2030年に向けたビジョンや中長期計画を作成する。
ただし、NORAはピラミッド型の組織を目ざしていないので、理念優先で数値目標を機関決定して、そこに最短距離で到達しようとすると無理が生じてうまくいかないだろう。どのようにビジョンを描くのか、どのような計画のかたちが望ましいのかについて、議論を深める必要がある。
NORAは定款上の目的として「地域ごとに個性ある持続可能なコミュニティづくり」を掲げているが、これは一人ひとりが対話を通して主体性を発揮できる場づくりを想定している。
ここで対話とは、他者との対話に限らず、自分との対話、自然との対話などを含むものであり、話す一方ではなく、きちんと聞くことを重視するという意味がある。
社会が変わらないと不満を抱えているとき、変わるべきは自分たちであるかもしれない。
腑に落ちないビジョンを急いで作成する必要はない。これを作るプロセスこそを大事にしたい。
地球環境危機、少子高齢化・人口減少など、社会的な課題を挙げればきりがない。
子どもたちの体験の貧困や格差、ナラ枯れ被害の拡大、みどりを保全する担い手不足など、里山にかかわる身近な課題も山積している。
しかし、多くの課題に直面していることは、それらを解消できれば現状よりも改善されるという希望が多いことでもある。
里山に軸足を置きながらも、環境問題のほか、教育・福祉、貧困・格差、まちづくりなど、多様な社会問題とも関連させつつ、広い視野を持って活動を展開していきたい。
②コーディネーターを中心とした「はまどま」運営の社会実験
「はまどま」には、ここに集まる人びと、地域の人びとに利用されることで持続可能なコミュニティが育まれていくときの拠点になるというイメージがある。
コロナ禍が続くなか、この目ざすところに対してどのような実践やサポートをしてくべきかについては再検討が必要である。
そこで、寄り合い会議のメンバーと対話し、その繋がりとアイデアをもとに、地域の人びとによる「はまどま」の活用実践をコーディネートしていきたい。
また、さらに運営しやすく、利用しやすく、参加しやすく、安心して気軽に集える場となるための環境とルールづくりも合わせて取り組んでいく。
各プロジェクトの自主性を維持しながらも、運営スタッフの個人的な献身に依存しないように、プロボノの支援を仰ぐなどして、ICTの活用、アウトソーシング等も進めていく。
③20周年記念事業の実施―プロジェクト紹介動画・初心者向けの里山案内
設立20周年を記念した事業として、自主事業として実施している各プロジェクトの紹介動画を制作する。
また、かつて『里山ガイドブック』(仮)を作るために集めた原稿があるので、これを生かして初心者に向けて里山への入り方や、里山の見方や感じ方などを伝える作品を制作する。
今日の里山は、環境問題という視点よりも、自然豊かな子育て環境として、丁寧な暮らしや地に足の付いた仕事を求める場として、人びとがアクセスする。
市民参加の里山保全をすすめてきた立場とは、自然に対する接し方や公共性の捉え方に相違があって、ときに対立することもあるだろう。
しかし、同じ場所を大切に思う気持ちがあれば、同じ方向に関心を向けることもできると考え、前向きにコミュニケーションを図りたい。
その際、わかりやすい言葉で視覚的にも伝えられるような表現手法、たとえば絵本を制作することが考えられる。
以上のような活動を展開しながらも、定例の自主活動(ヤマ・ノラ・ムラ・ハレ・イキモノ)も着実に継続し、「根を持つことと翼をもつこと」を両立させていく。
※2021年8月21日(土)に開催された第22期通常総会で承認された議案書の第22期事業計画(2021年7月~2022年6月)から抜粋