[コラム] いしだのおじさんの田園都市生活
第32回 故郷を耕す
「放射能がやってきても、青葉区で耕し続けるか」
と、問われた。
「青葉区は私の故郷です」
と、応じた。
4月の始め、有機農業関係者などが集まった会合のあと、
(『有機農業の技術と考え方』)
いつものように居酒屋に流れたが、
いつもの酒の席とはちがっていた。
地震と津波という天災、
しかし、あきらかに人災である原発事故。
これらに対して、
今までとこれからをどのように考えるのか、
何かのアクションを起こしていくのか、
そんな話し合いだった。
もちろん、そう簡単に方針がまとまったりはしなかった。
私に問いを発したのは明峰哲夫氏。
70年代から「市民が自給する」「街を耕す」にこだわってきた人。
(『僕たちはなぜ街で耕すか』『街人たちの楽農宣言』など)
今は『庭プレス』というサイトなどに書いている。
実践の人たちは「科学」を批判していた。
科学の粋を集めて「安全」に運転されていたはずの、
その原発に「想定外」の自然が襲い、
科学は「神話」となった。
そして、なお、
命を産み出す大地を耕すな、
種を播くな、
できた野菜を食うなというのは、
ベクレルやシーボルトという「科学」の数値だ。
ダイジョウブだったはずの故郷を追われるのは、
自然と共に堅実に生きてきた人たち・・・
「科学」に裏切られ、
「科学」に追われる。
有機農業もある面では「科学」的であるべき、
そう思い実践してきたみなさんも、
科学との今後の付き合い方、を考えてしまう。
放射性物質を科学的に測定してどうなるのだ。
原発の恩恵を享受していた都市住民は、
福島の野菜を拒否してよいのか?
(風評被害はもちろんトンデモナイ)
そもそも「安全のために」出荷停止、
とは、どういうことだろうか?
誰の安全だ。
たとえ、福島の野菜に放射能がかかっていても、
それを買って食べるべき。
いよいよ食べられないものになっても、
代金は払うべき。
との論もあった。
そういう時代に生きている。
地震の列島に生まれ暮らしている。
原発を拒否してこなかったことに責任がある。
などなど・・・
そして・・・
あれから2週間ほどがたち、
HUKUSHIMAとその周辺では、
耕すことができない土地、
種を播くことができない畑、
水を入れることのできない田、
などが広がりつつある。
農業者にとって収穫したものを食べてもらえないのは、
収入がないということ以上の無力感だろう。
百姓にとって、
耕すことができない、種を播けないというのは、
レーゾンデートルの問題だろう。
そもそも、
放射能があるから土地を耕してはいけない、
作物を育て収穫してはならない
と、いうことの意味がわからない。
耕して収穫することは自己選択。
それを食べるか食べないかも自己選択。
なのではないだろう?
なぜ、消費でなく生産をコントロールしようとする?
そう、
風土と共に生きてきた人、
家族と自然の中で暮らしてきた人たちにとって、
故郷とはまさに命をつないでいく場だろう。
その、故郷を剥奪されるとは・・・
そして、私・・・
明峰氏は、前述の問いの前提として、
「石田さんも都市に生きる「根無し草」だよね」
と、語った。
ゆえに、
私は「いいえ、青葉区が私の故郷」と応えた。
しかし、本当にそうだろうか?
つづく・・・
明日から1週間、石巻に行ってきます。
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