icn_ikimonononigiwai

第10回 春のはじまり

2010.3.31
イキモノのにぎわい

日当たりの良いコンクリートの上に、黒い毛糸で粗めに編んだ
敷物のようなものが広がってるな~と見てみると、ヒジキです。
ヒジキは茹で上げてから乾燥させるのが一般的なのかと思ったら、
刈り取った生のヒジキを乾燥させるところもあるそうです。
三浦半島はワカメの収穫が終わり、いまはヒジキ漁の最盛期。

先日、3月でも記録的に気温が低い日に、北西部の磯でヒジキ漁が
行われていたので見学させていただきました。
ヒジキは褐藻網ヒバマタ目ホンンダワラ科ヒジキ属で、一属一種の海藻。
磯のヒジキは緑がかった褐色で、乾燥して黒くなったヒジキとは
イメージがだいぶ違います。

ヒジキは潮が引いたときに露出する岩礁上の、潮間帯中部に
密生するので、大潮の干潮時で波が高くないときにしか漁獲できず、
刈り取るタイミングが限られているそうです。
岩場に生えているヒジキを鎌のようなもので刈り取り、船で運び、
それを鉄釜で5時間ほど茹で上げ、真水でよく洗い、塩抜きをし、
干して乾燥させ、袋詰めするときにはゴミ等を除くなどするそうで、
大変手間のかかる作業です。

ヒジキは、漁協ごとに漁獲する期間が決められているそうで、
3月から4月が多いそうです。
つまりこの季節のヒジキが最も美味しい。
ヒジキは漁業権があるので、漁師さん以外は採ってはいけませんが、
浜辺に流れ着いたものをありがたくいただいたところ、
歯ごたえがあり乾燥したヒジキとはまた違った味わいがありました。

ところで、三浦半島に住んでからはじめて「長ヒジキ」を食べました。
一般的に煮付けにされているのは「芽ヒジキ」。
「芽ヒジキ」と「長ヒジキ」は違った種類なのではなく、芽の部分が
芽ヒジキで、茎の部分が「長ヒジキ」だそうで、乾燥している間に
自然に分かれてしまうそうです。

日常的に食べている海藻についてもまだまだ知らないことばかり。
いろんなことを知ることができるのは、産地の側に住んでいる
特権だなと思いつつ、私たちが暮らす身近な海で採れたものを
いただくのが、やっぱり一番、とも思った春のはじまりでした。

(Tanji)