石田のおじさんの田園都市生活

第2回 「地産地消」?「自産自消」?

2009.1.6
いしだのおじさんの田園都市生活

「自産自消」ということばを考えた。数年前のことだ。
先日、ある集まりで発表したところ、意外とウケタ。
「未来に引き継ぐ農のあるまち」という集まり。
青葉区が主催している懇談会だ。
「田園都市の景観をいかに保全するか」を課題としている。
実は市内の農家である、青葉区長も参加していた。

「自分で生産し自分で消費する」という意味だが、
もちろん「地産地消」をもじっている。もじっているだけではない。
「地産地消」をヒハンし、ヤユしているのだ。
なぜ、批判、揶揄なのかは、紙面の都合で詳述は避ける。

ただ、どうも「地産地消」は「消費」に重きが置かれた言葉に聞こえる。
消費によって生産が支えられる側面はあるだろうが、どうも「消費」は持ち上げたくない。

大きく言えば、農が業として消費者から語られることに違和感がある。
いのちにかかわることを「産業」「経済」で語ってほしくないという勝手な思い・・・
ならば、わたしも「地産地食」とか「自産自食」と言うべき、ではある。
だが、ヒネクレもんだから、ヒハンとヤユが捨てられない。

地元のものを地元で食べるという思想は、「身土不二」という言葉につながる。
仏教の言葉だそうで、きっと奥深いものだろう。
韓国では、有機農業運動の言葉となっているそうだ。
(山下惣一『身土不二の探求』(創森社)が参考になるか)

「自分で作って自分で食べる」はピッタリの言葉が見つからない。
いや、「自給」があったな。
どうも、その下に「率」とつけて国家的問題にしたり、
「自足」とつけてヨネスケやカバチャンが訪ねて行く
テレビ番組みたいになるが、ベランダ菜園でも立派な「自給」だ。

「全ての人が自ら耕す」という意味では「万人直耕」という言葉がある。
日本が誇る(?)大思想家、安藤昌益の言葉だ。
(拙著『耕して育つ』(コモンズ)の春の章「江戸時代のイマジン」を参照)
http://www.commonsonline.co.jp/tagayashite.htm
「全ての人が自ら耕す」世の中は平和で豊かだと考えている。
(こういうのを自画自賛というのか?)

最近では、市民の誰もが農にかかわろうという提案もある。
(大江正章『地域の力』(岩波新書)「市民皆農のすすめ」)
http://www.iwanami.co.jp/hensyu/sin/sin_kkn/kkn0802/sin_k398.html
(ここで紹介されているのも実は横浜市の事例
緑を次世代に引き継ぐには、農家に頑張ってもらうだけでなく、
市民の参加が欠かせない。そう考えて市は様々な施策を打っている。)

横浜市青葉区に市民自給型会員制田んぼ「な~に谷っ戸ん田」がある。
(ホームページ http://www.yattonda.com参照)
そこでは、市民が、楽しく、かっこよく、気持ちよく「自給」している。
結果として、田園都市の景観保全にもつながるはず。
田園都市が保全されるのは楽しいことの結果であってほしい。

(石田周一)