第30回 長雨と小さなノラ畑のにぎわい

2019.8.1
映像の持つ力

小さな森の畑

7 月の週末ノラ畑。空いた週末に2人で手をかけています。機械や肥料やマルチを使っていないから、草がいっぱい。里山の景色を想い植えた果樹、今年ふやしたティピ区画、長い梅雨が相まり草が合間を縫うように繁茂し小森みたい。

 

草刈りも鎌を片手に手だけの作業。草や植えた木や野菜の成長と見比べ、せっせと刈り取ります。といっても週末に手が届く範囲の草刈り。すべてを刈り取ることは不可能で、いつもどこかに草があります。

ポポの木 

中をのぞくと・・実がなっている! 初めての結実。U^ェ^U

ティピ区画

 

あ、草だけなくて、草陰には、小さなバッタや大きなバッタ、カエルにカマキリに・・カメムシやナメクジ、クモやら・・・そこかしこに生き物がいっぱい。草を刈っても、刈っても、減るどころか、年を経るごとに種類や数が増え、かさかさと賑やかなんです。

ポップコーン用のトウモロコシ

ん、なんだかひげが赤いね。そう、ピンク・トウモロコシなのです

インゲン、まだ花が咲いてる

 

生態系の安定性をもたらすものは・・

国連は、2018年に「小農と農村で働く人びとの権利宣言」を採択しましたが・・、うちのはミクロ農かな?

そうそう!
「多様性は生態系に安定性をもたらすと言える。だが、より正確には安定性は「多様性に」ではなく多様な対応ができる「生物種」の能力如何にかかっている。(途中略)
「もし、生態系や生物種を保全したいならば、保全のための教訓は明らかだ。種をすべて『聖なるもの』としてことを運ぶことが最善なのだ」

(吉田太郎さん著「文明は農業で動く-歴史を変える古代農法の謎-」※1 より抜粋)

これは、著作内で紹介された、保全生態学の研究家が「生態系の安定性とキーストーン種について」ようやく導き出した最新の結論。

しかも!これはインドの伝統的なしきたりとさして変わらないと言います!(なんと!)。

出版社の本紹介から引用すると・・
・・・「複雑系の科学が、生態系に適応した古代農法が、近代農業以上に洗練され生産性も高かったことを解き明かした」・・・と。

発行が2011年ですから、2019年の現在では、種を継いできた日本各地の地域に根ざす、お百姓さん仕事がどう生物多様性や生態系に寄与したか、もっと解明されていることでしょうネ?!

複雑系科学の結論、「種は、すべて『聖なるもの』としてことを運ぶことが最善」と言うことは、少なくとも根絶やしさせる方法は最善ではないと考えて妥当なようですね。

伝統的なしきたりが、多様性のキーストーン種?

NORAとの共催、はまどまシアターでは、去年、世界の家族農をテーマにした「未来を耕す人びと」を上映しました。その時に初めて知った、2018年に国連総会で「小農と農村で働く人びとの権利宣言」が採択された事は、2019年からの10年を「家族農業10年」と位置付けたことは、この流れだったのですねぇ。2011年に発行された吉田太郎さんの本を読み返しガッテンうなずけました!!。(遅いって? (>人<;) )

日本農業新聞の記事では、「家族農業は、地域を活性化させるだけでなく伝統文化を引き継ぎ環境を保全する機能も持つ。農業政策に家族農業を位置付け、文化や環境で多面的な役割を発揮できるよう農水省や関係機関は英知を結集すべきだ。」(2018年12月13日)※3 と結んでいます。

そうだ!夏休みには本を片手にうちの週末ノラ畑を調べて見よう。どんな生物多様になっているのだろう。「昆虫博士入門」「新雑草博士入門」※2が助けになりそう。全農協発行の図鑑。シリーズのテーマが興味心身です。
・・・「形」には理由(ワケ)がある雑草の「形」は、「くらし」と密接な関係がある。「形とくらし」を観察するユニークな図鑑・・・

きっと日本の伝統的なしきたりもしかりでしょうね!!
はまどまシアターでは、その伝統的なしきたりが、つくりだした『里山の恵み』を映像で鑑賞しています。ぜひご一緒しませんか。次回は9月30日(月)19時から。

上映作品「竹に暮らす」(1989年41分/撮影地:千葉県君津市泉、富津市竹岡、勝浦市)
千葉県教育委員会委嘱/民族文化映像研究所制作

詳細・お申し込みはNORAの上映会ページをご覧くださいね。

▷NORA上映会のページ

(中川美帆)

注釈

※1:吉田太郎著「 文明は農業で動く-歴史を変える古代農法の謎-」築地書館(2011年4月刊行)▷ 出版社「築地書館」のリンクはこちら

※2:全農協 観察と発見シリーズ
〜「形」には理由(ワケ)がある雑草の「形」は、「くらし」と密接な関係がある。「形とくらし」を観察するユニークな図鑑 〜
「昆虫博士入門」 ▷ 全農協のリンクはこちら
「新雑草博士入門」

※3:日本農業新聞のサイト ▷該当記事のリンクはこちら

映像の持つ力