第110回 釜飯仲間・おこげのお話

2018.2.28
神奈川・緑の劇場

今思えば、まだまだ元気だった。カラダもココロも。

神奈川県内生産者限定の野菜市を始めたら、さっそくNORAが支えてくれた。

退職前から交流はあったとはいえ、瞬時の判断と行動力は、今思い返してもありがたいことであった。そのころ、私はまだ会員ですらなかった。丸々13年の月日が流れたが、当時はNORAには専従スタッフがいて、なかでも最若手のM氏に語ったことがある。

「必ず食糧危機が来る。それも、そんなに遠い未来ではない。だが、手の施しようもない食糧危機の前に、“軽い食糧危機”が来て欲しい。たいへんだ、国内の食糧生産を大切にしなければ、という気持ちに日本中が目覚めるのではないか?そうなって欲しい。私の食糧危機予想など当たらない方が良いのだ。」

毎年のように繰り返す天候異変。今回は、台風が二つ続けて襲来したこと、長雨が続いたこと、そして、低温が続いたことが、かつてない野菜の高騰を引き起こしていると言われている。

いよいよ、本格的に食糧危機が到来していると思わざるを得ない。それは、国が食糧危機を国民に伏せていると思われるからだ。このタイミングで、国内農業を大切にするべきだ、などと国民に思わせたくないのだ。ようやくTPP11がまとまりかけ、ヨーロッパとのFTAも。食糧自給率が38%だって上昇させる気などあるのだろうか?人口減少社会になれば、ほっておいても食糧自給率は上昇する。

同じころ、生産者の後継青年が悩んでいた。農業の未来に希望がもてないからだ。私は言った。「まもなく農産物を輸出する時代がやってくる。世界の富裕層は、日本産の農産物を利用する。一方で、国民の大半は、輸入農産物を利用せざるを得ない。

今、日本政府は農産物の輸出に熱心だ。

そして、高騰を続ける国内農産物に対して輸入農産物が急増している。次に市場相場が落ち着いてきた時に、輸入を急に止めるわけにはいかず、必要以上に出回ることが考えられる。野菜の暴落が懸念される。不作で痛めつけられ、次は輸入野菜が溢れて暴落。若くとも農業から撤退する生産者がまた現れる。

(2018年2月28日記  おもろ童子)